ラーメンの世界に、静かな変化が起きている。
かつて日本のラーメンといえば、低加水・細麺が主流だった。博多の細麺、札幌の中太縮れ麺——どれも加水率は低めで、スープとの絡みを重視した麺だ。
しかし2010年代以降、多加水麺を看板にする店が急増している。もちもちとした食感、強いコシ、独特の弾力——これらを特徴とする多加水ラーメンが、都市部を中心に人気を集めている。
加水率とは、小麦粉に対する水分量の割合だ。
加水率が低い麺(30〜35%)はパツンとした歯切れの良さが特徴で、スープを吸いやすい。博多ラーメンや一部の東京ラーメンがこのタイプだ。
加水率が高い麺(45〜65%)はもちもちとした食感とコシが強く出る。水分が多いため麺自体の存在感が増し、「麺を食べている」という満足感が高い。多加水ラーメン・佐野ラーメン・喜多方ラーメンなどがこのタイプだ。
多加水ラーメンの加水率は、讃岐うどんのそれに近い。
讃岐うどんの加水率は一般的に45〜50%程度だ。多加水ラーメンも同様の加水率で作られる。つまり、多加水ラーメンとうどんは「コシを追求する」という方向性において同じ技術的課題を持っている。
加水率が高くなるほど生地は柔らかくなり、扱いが難しくなる。グルテン形成をいかに強くするかが、コシのある多加水麺を作るための鍵になる。
多加水麺のコシを引き出すには、足踏みや鍛えの工程が効果的だ。
佐野ラーメンで有名な「青竹打ち」は、その典型だ。青竹に体重をかけて生地を踏み込み、コシを引き出す。この工程は、讃岐うどんの足踏みとまったく同じ原理だ。
コシを生む技術は、うどんとラーメンで共通している。
さぬき麺機はこの事実に着目し、手打ち式製麺機の技術をラーメン向けにも応用してきた。波ロールによる多方向加圧・スーパーニーダーによる超低速練り・樹脂製ロールによる仕上げ——これらはうどんだけでなく、多加水ラーメンのコシ引き出しにも有効だ。
さぬき麺機は加水率40〜65%に対応している。
超多加水麺(65%前後)は生地がベタつき、一般的な製麺機では扱えないことが多い。さぬき麺機の包丁引き切り方式は、このような超多加水麺にも対応できる。
また、SANUKIラーメン学校では多加水ラーメンの製麺技術を専門に学べるプログラムを提供している。讃岐うどんの技術から生まれたコシのノウハウを、ラーメンに応用する。これはさぬき麺機だけが持つ独自のアプローチだ。
スープの差別化が難しくなった今、ラーメン業界で注目されているのが麺の差別化だ。
「うちの麺は多加水の手打ち式で、コシが違います」——このストーリーがSNSで拡散し、行列を生む時代になっている。多加水ラーメンのブームは、コシという価値への回帰でもある。
多加水ラーメンとうどんは、コシを追求するという意味で同じ技術的な土俵に立っている。1910年から讃岐うどんのコシを機械で再現してきたさぬき麺機の技術は、多加水ラーメンの世界にもそのまま応用できる。